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旅に出るのに、理由はいらない。

コンドルのいる動物園、シルクロードの寝台列車、マルタで過ごしたひと夏。海外30カ国・国内の旅行記と、旅についてのあれこれを綴ります。

小さな駅舎、孤高の女デザイナー、道端の少年。セルチュクを歩けば、素敵な出会いがたくさん。

トルコの旅も中盤。エフェス遺跡にG-Adventuresの仲間と行ったあと、夕方は一人でセルチュクの町をぶらぶらすることに。

 

トルコはサマータイムのせいなのか、ずいぶん日が長い。夕方なのに昼間みたいに明るかった。

 

まず、向かったのはセルチュクの駅。小さな駅舎の屋根の向こうに、飛行機雲がふた筋のびる。

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セルチュク駅は地元の人と観光客でにぎわっていた。ホームから線路に足を投げ出している人がいるけど、いいの?!

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北へ向かう線路はまっすぐ伸びる。ずっと行けばシリンジェ村に着く。

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このひなびた駅が気に入って、しばらくここで行き交う人々を眺めることにした。

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ベビーカーを押すお母さんたちと、はしゃぎながら踏切を渡る男の子。

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大きな箱を両手に持って運ぶおじいさん。

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スカーフを巻いてゆっくり歩くおばあさん。

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時どき、バイクも通る。

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電車が来るまでここにいようと思っていたけど、なかなか来なかった。

ここで暮らす人たちが踏切を渡る様子をたくさん見て、なんとなく満足したので、街中に戻ることにする。

 

ふらふらウロウロしていると、土産物の軒先に猫発見!焼き物の中に収まっている。

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「この子はズズって言うのよ」

店の中から女の人に呼びかけられた。

「ズズは私の猫。店先が彼女の家なの」

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彼女の名前はフーリアさん。

「私はデザイナーで、デザインしたアクセサリーをここで売ってるの。良かったら見ていかない?」

まだトルコ土産をほとんど買っていなかったので、お店の中を覗くことに。

「あなた、日本人?私は日本の名前も持っているの。“ユリ”って言うのよ。ここで日本語がわかる人はいないから、誰もそう呼ばないけどね。それにここの人は、みんな私をジュリアって呼ぶの」

「もしかして、スペイン語でJuliaって書くの?」と聞いてみた。

「そうよ!よく分かったわね」

「昔スペイン語を少しだけやってたの。スペイン語は“Ju”を“フ”って読むでしょ?」

彼女が生粋のトルコ人なのか、スペインもしくは南米系の人なのか、よくわからなかったけど、そのままゆるゆると雑談を続けた。

すると、フーリアが「お茶を出すわ。ストレートとリンゴ味と砂糖入りとどれがいい?」と言うのでリンゴをお願いした。

客引き+お茶出し、って下手したらボッタクリの可能性もあるけど、店の中をざっと見た感じは比較的良心的な値段のようだし、いただくことにする。

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「この店は、去年トリップアドバイザーでトルコの1位になったの」

と、賞状を見せてくれるフーリアさん。これはすごい!!!

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「1位にはなったけれど、何も無理して宣伝した訳じゃないの。この店が1位になった理由、わかる?」

フーリアさん、ぐいぐい来る!ぐいぐい加減に押されて焦る(笑)

でも、表情はクールながらキップが良くて世話好きなフーリアさんのことを、この時点でだいぶ気に入っていたので、理由を聞いてみた。

「それはね、誠実さ。私は儲けの為に誰かをだましたりしないの。土産物屋は観光客をだますことが多いでしょう?適正な値段で売らなかったり、産地や素材をごまかしたりして。でも、そう言うのは良くない。何をやるにしても、誠実さが一番大切なの。」

 そういえばフーリアさん、スカーフや焼き物の値段を聞いたとき、手作りかそうでないかも逐一教えてくれた。

「こっちはイスタンブールで買うと高いけど、あっちはどの町でも同じのが買えるから、荷物が重いのが嫌なら次の町で買うのがいいわ」

「このスカーフは外国製だから安くて40リラ。国産スカーフは最低80リラはする。他の店で国産スカーフだと言って80リラ未満の値段で売られそうになったときは、産地を偽っているから気をつけなさい」

なんて、「ここで買うのが安いよ」「国産だよ」と適当に言ってしまえばコロッと買ってしまいそうなのに、正直に話してくれていた。 

フーリアさんを好きになってしまったので、いくつか焼き物を買うことに。

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そしたら、メタリックの綺麗な包み紙でラッピングしてくれた!

「これも私のこだわり!一つしか買ってない人でも、たくさん買った人でも、心をこめてラッピングするの。いつも素敵な袋とリボンはたくさん用意してある」

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ラッピングしながら、彼女は自分自身について教えてくれた。

この店は夏だけで、普段はイスタンブールに店を出しているらしい。セルチュクは物価が安くて節約暮らしには最適だし、気候も穏やかで暮らしやすい。2つの町を行き来しながら、デザイナーをしつつ店にも出て、ネットでもアクセサリーを販売して、一年中働き通しとのこと。

「デザインも商売も才能があって、まるでスーパーウーマンね」

と言ったら、「家族を養うために必死に働いてきた。最近は働く女性も増えたけど、トルコは今でも女性が働きやすい国じゃない。若い頃は特にそうだったけど、私は強くなる必要があったの。でも、これまでの人生でたくさんの人が助けてくれた。特に、女のひと。あなたは若いからまだ知らないかもしれないけど、女は女の味方だから。女同士は分かりあえるし助けあえる。国も年齢も関係なくね。このことは覚えておいて損はないわよ!」

…なんだかすごい話を聞いてしまった、と呆気にとられていると、すべてラッピングが終わって、笑顔で袋を渡してくれた。

「お茶とお話し、ありがとう」

「店に来てくれてありがとね。良い旅を!」

フーリアさんは店先まで出て、猫のズズと一緒に見送ってくれた。

旅をしていると、不意打ちで誰かの人生の話を聞いてしまったりするから面白い。

 

フーリアさんの店を出て、ホテルへ向かう道を歩きはじめた。

猫に興味心身の男の子と、男の子を抱きかかえて猫に近づかせてあげようとしてるパパと、悠然と座っている猫。

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インコも発見。

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もうすぐホテル、と言う時に、遠くから小学生くらいの男の子たちが駆け寄ってきた。

「チャイナ?ジャパン?コリア?」

「ジャパニーズだよ!」

お互い言葉は通じないけど、なんとなく盛り上がる。片言の英語が話せるみたいで、あとで調べたら6歳から英語教育がはじまるらしい。

「フォト」と言いながら、カメラを構えるジェスチャー。

どうやら撮って欲しいみたい。

カメラを構えると、ちょっとカッコつけたポーズ!

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「見せて見せて!」

この写真を見せると、すごく喜んでくれた♪♪

カメラを覗きこむとき、左の子が私とほっぺをぎゅっとくっつけてきて、可愛かったなあ。

男の子たちが何を言ってるか分からなかったけど、しばらく嬉しそうにはしゃいでいた。笑いながらお互いをヒジでつつきあって何か言ってたけど、「カッコいいじゃん」とか言ってるのかな?

思えばトルコでちびっ子と話したのは初めて!

 

一人でフラッと繰り出したセルチュクの町歩き、思いがけず素敵な出会いがたくさんありました♪♪

 

 

※念のため補足しますと、「写真を撮ってと言われて写真料をせびる」「撮影の前後の隙を狙って財布をすられる」等のトラブルもよく聞くので、その点はご注意を…。トラブルを避けようと思って一切の交流を経つと、楽しい触れ合いもなくなってしまうから、兼ね合いが難しいところですね…!